私たちは誰もが反復練習することで脳や体に学習記憶させることを知っているはずです。
学習記憶とは無意識下でも反復練習させたことを体現させることができます。
スポーツや勉強・習慣は学習記憶の集大成です。
ところが患者さんは、痛みが学習記憶によって起こるとは認識できていないのではないでしょうか?
学習記憶とは良い面もあれば悪い面もあるということを知っていただきたいです。
例えばゴルフのスイングで良いコーチにつき、反復練習したことで正しいスイングを無意識に行えるようになるということは良い学習記憶と言えるでしょう。
ところが重たいものを持ち上げた時に腰を痛めた経験を何度か繰り返すと、物を持ち上げようとするたびに緊張の記憶が呼び起こされて、本来自分の筋力ではたいして負担にならないはずの動作でも恐怖の記憶によって痛みが起こるという悪い面での学習記憶もあり得るのです。
その記憶は体だけではなく脳にも記憶されるので、物を持ち上げるというイメージをしただけで痛みが起こるということもありうるのです。
幻肢痛という症状を聞いたことがあるでしょうか?
足に大怪我をして切断しなければいけなくなった患者さんがいます。
足を切断した後に、すでにないはずの足が痛みの記憶によって痛むという症状です。
まさしくこれは、脳の学習記憶による痛みといえます。
つまり痛みとは必ずしも患部と一致するわけではなく、脳による痛みの学習記憶によって起こり得るのです。
なぜなら痛みとは、体の組織から直接出るわけではなく、脳から出す信号だからです。
治療をしても繰り返す慢性症状は、この脳による痛みの学習記憶が原因していることが多いです。
しつこいかもしれませんが脳は学習記憶をするのです。
ですから痛みの誤作動記憶も正しい情報に書き換える反復練習することで、痛みが起こらないように学習記憶させることができるのです。
今風に分かりやすく言い換えると、スマホのシステムの不具合の箇所を特定し、正しい情報にアップデートするのと同じです。
この治療の肝は、脳の誤作動の箇所を特定することです。
当院では、脳の誤作動を特定するために『生体反応検査』を行います。
生体反応検査によって特定された脳の誤作動は、クセを指摘された時のようにそこに意識を向けるようになり、自然と改善しようと脳は働くのです。
生体反応検査を用いた脳の調整を『心身条件反射療法(PCRT)』と呼びます。