40代女性の患者さんが杖をついてご来院されました。10年前から膝の痛みを感じ始め、整形外科で変形性膝関節症と診断されたものの、痛みをごまかしながら過ごしてこられたそうです。半年ほど前から歩行が困難になり、整形外科では手術を勧められましたが、手術を避けたい思いから整体院や整骨院を転々とされていました。
そんな中、当院に通っているご友人の紹介で来院されました。来院時には杖をつき、足を引きずるような歩き方で、とても辛そうな様子でした。
痛みは右膝にありましたが、機能障害の反応が見られたのは左の股関節でした。さらに、全身のバランスを支える機能も低下していたため、アクティベータ治療を行いました。その結果、施術直後には右足一本で体重をかけられるようになりました。
痛みの部位と機能異常の部位が異なっていたことから、誤作動信号と誤作動記憶が絡んでいると判断し、PCRT(心身条件反射療法)を行いました。施術1回目で杖なしで歩けるようになり、患者さんは感動の涙を流されていました。
《犬が教えてくれた誤作動記憶》
患者さんは、その後ご自身の体験と愛犬の出来事を重ね合わせ、誤作動記憶の存在に改めて気付かれました。
愛犬が病院で足に注射をされた際、痛がってしばらく足を引きずっていたそうです。その後元気になりましたが、再び病院に行った際、注射をしていないにも関わらず足を引きずり始めました。しかし、ボール遊びを始めたら問題なく走り回るようになったとのこと。
この体験を通じて、患者さんは「自分の膝の痛みも、歩けないという自己暗示のようなものではないか」と気づかれました。実際、3回の施術で周囲からも「調子が良さそうだね」と声をかけられるほど改善しました。
誤作動記憶とは・・・
長年痛みを抱えている方は、「歩く=痛い」という条件反射が脳に刻み込まれてしまっていることがあります。このようなケースでは、実際の痛み以上に脳の誤作動信号が影響していることが少なくありません。
誤作動記憶は非陳述記憶の一種であり、過去の経験や情報が無意識に現在の行動や認識に影響を与える現象です。これをプライミングとも呼びます。例えば、泳げる人は自然と泳ぐイメージを持てるのに対し、泳げない人は溺れるイメージが先行してしまうのです。
この患者さんのように、痛みの誤作動記憶に気付き、正しいイメージを構築することで、歩行への不安を乗り越えることが可能です。
手術を勧められた方でも、PCRTによって誤作動記憶を解除し、改善を目指すことができます。
もし、同じように長年の痛みに悩んでいる方がいらっしゃれば、ぜひ一度ご相談ください。